奇妙で怪しい私のクセ
じつは私にはちょっと変わったクセがあります。
といっても数年に1回位しか出ないのでクセと呼べるかどうかわかりませんが、ある日友人に話をしたら「それはヘン」と速攻で言われてしまいました。
何かというとですね、それは、あまりよく知らない人に「悩み、ありますか?」と聞いてしまうことです。
もちろん、自分が占いの仕事をしていることとは関係なしに。
このときの気持ちは占師ではなく、求道者のようなピュアな気持ちなのですが、ちょっと怪しいでしょうか?
(自分で言っててやっぱりヘンかな?と思ってきました・・・)
しかし実際、いろいろな人にお話を聞くというこの奇妙なクセによって、救われたことが何度もあるのです。
どういうことなのか? すこしお話してみますね。
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上手くやってるように見える人ほど・・・
思い返してみると、私の奇妙なクセは20代前半の体験から始まっているかもしれません。
当時、某企業に勤めていた私は人づきあいがひどく下手で大きなストレスを抱えていました。
同僚とも上司ともうまく話せずに孤立していたのです。
そんな中に、資産家の子息で人づきあいが天才的に上手な先輩がいて、その人のことをとても羨ましいと思っていました。
その先輩は誰からも愛され、いつも人に囲まれ楽しげで、自信に満ち溢れていました。
ある日、あまり口をきいたことがないその先輩に、ふと聞いてしまったのがこの言葉です。
「〇〇さんは・・・、悩みとか、あったりしますか?」
するとその先輩は思いがけない答えを返しました。
「あるよ、人間関係とか」
私はまさか人間関係で悩んでいると思わなかったので驚き「でも、お友達もすごく多いですよね!?」と訊ねると「上手くやってるように見える人ほど悩んでたりするもんだよ」と。
今ならその意味はよくわかるのですが、まだ若かった私はその言葉に衝撃を受けました。
その頃の私は目立たず空気のような存在でしたから、彼も話しやすかったのでしょう。
どちらかというとおチャラけたタイプだったその先輩はそれから、いつになく真面目な口調でいろいろお話してくれました。
思わず口からでた「悩み、、あったりしますか?」という漠然とした言葉ですが、心からの問いだったためか、相手もそれに答えてくれたのだと思います。
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旅先で人生の師に出会う
「悩み、ありますか?」の問いは、家族や友人など近しい人にすることはなく、一人で出かけた旅先ですることが多い気がします。
たとえば、、
・長距離タクシーの運転手さん
・ふらりと入った小料理屋の女将さん
・お話を聞いてくれた居酒屋のご主人
・旅先で偶然に知り合った人々 など
相手は私のことを旅行者だと知っていて、この瞬間だけの関わりだとわかっているからこそ、いろいろお話してくれるのかもしれません。
たわいのない世間話をしている中で、ふとした瞬間「あの~・・・妙なことをお聞きしますが、、悩みとか、あったりしますか?」とおずおずと聞いてみる。
そうすると(今のところ)全員が「ありますよー」と言いながら、人生や悩みについて話してくれます。
深いご事情は一切聞かず、相手も詳細は語らない。私はただひたすら耳を傾けるだけ。
見知らぬ人の、もしかしたら誰にも言ったことがないだろう悩みをお聞きするたびに、私はまるで人生の師に出会ったかような気持ちになります。
お話を伺った後「ありがとうございます。勉強になりました」という心からの気持ちを伝えると、相手もなんとなくスッキリしているようでフワッとした空気が漂い「お話を聞けて良かったな」と感じます。
「悩みありますか?」癖が出るときはたいてい、私自身が悩んでいるときかもしれません。
心が彷徨って迷い込んでしまったとき、言葉が勝手に出てしまうのかもしれません。
きっと、エラい人の立派な話よりも、生きた言葉が欲しくなるのだと思います。
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生きた言葉こそが人を癒す
つい最近、旅先ではなく行きつけのヘアサロンでこのクセがでてしまい自分でも驚きました。
いつもお願いしているスタイリストさんとは仲良しですが、プライベートな話はほとんどしないサラリとした関係。
このスタイリストさんはモデルのようにカッコ良くオシャレな上に、ご自身のビジネスも成功されて華やかなご活躍ぶり。
悩みなんてないだろうなと思いながら、つい聞いてしまいました。
「あの~・・・ですね、悩みとか、あったりします?」
すると、そのスタイリストさんは私の髪をチョキチョキ切りながら、真面目な顔で教えてくれました。
「沢山ありますよ。あれこれ考えて、いつも朝方まで眠れないしね・・・」と。
パーフェクトな成功者に見えるこの方もやはり悩んでいたのか!とシミジミしつつ、その日は髪も心もスッキリしてサロンを後にしました。
きっと、頑張っている人は悩みが尽きることはないのですね。それは挑戦し続けてるってことだから。
私のこの「悩みありますか?」と聞くクセは奇妙なものですが、皆悩みを抱えながら一生懸命に生きていること、すべての人が師になりえること、生きた言葉こそが人を癒してくれること、をいつも鮮烈に思い出させてくれます。
自分のことを話すのは苦手でも、相手の何気ない言葉で癒され、生きるエネルギーを感じることができるのだなと思います。
年齢的には、質問する側ではなくされる側になってきたのですが、また、どこかで聞いてしまうかもしれません。
「あの~・・・、悩みとか、あったりしますか?」そんな妙なことを聞くオバサンがいたら、それはおそらく私です。
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